2022年3月17日

成人年齢の引き下げについて

民法の一部改正により、令和4年4月1日から、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられます。

従前の民法は20歳をもって成年とすると定めており、20歳未満の者は未成年者とされていました。
未成年者が法律行為をするには、法定代理人(親)の同意が必要で、親の同意がない法律行為は原則として取り消すことができました(小遣いでの買い物など、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産の処分など、一部例外あり)。

したがって、これまで例えば車やバイクの購入などのように高額な商品の売買契約については、20歳未満の者が単独で行うことができず、基本的に親の同意が必要でした。
また、20歳未満の大学生が一人暮らしにあたりマンションやアパートを借りる際の賃貸借契約においても、親の同意が必要でした。

ところが、今回成人年齢が18歳になることから、18歳になれば、車やバイクなどの高額商品の購入についても単独でできるようになりますし、マンションやアパートを借りる際の賃貸借契約についても単独でできるようになります。
もっとも、実際問題として、18歳の学生に定まった収入があったり、多くの財産を持っていることは期待できないため、契約の際に相手方から親の保証を求められることはあり得ると思います。

逆に、これまでは、18歳の者が親の同意なく単独で高額商品の契約をしてしまった場合、後から、未成年であることのみを理由に取り消すことができましたが、今後は、法律上有効な契約として、取り消すことができなくなります(相手方から騙されて契約したなどの場合は、もちろん取り消せますが、18歳の場合、未成年者がした契約という理由では取り消せなくなるということです)。
したがって、18歳や19歳で、まだ十分に社会経験がない場合に、うっかり高額の契約を締結してしまい、多額の負債を負うことがないよう、十分に注意していただきたいと思います。

また、これまでは結婚できる年齢が男性18歳、女性16歳とされており、未成年者であっても民法上は結婚することができました。
しかし、今回の改正で、女性も男性と同様に18歳から結婚できることとなり、男女ともに18歳にならないと結婚できないことになりました。
この点に関して、これまでは18歳は未成年者だったので、未成年でも結婚すれば成人と同様、親の同意なく法律行為ができる旨の規定が置かれていたのですが、今後は18歳は成人となりますので、そもそも結婚しているか否かにかかわりなく、18歳になれば親の同意なく法律行為ができることになります。

なお、私の2021年3月19日付ブログ
http://www.ikunami-law.com/blog/d20210319/
において、結婚できる年齢について触れていましたが、上記のとおり、今回の改正により変更されています。

その他、民法より先に公職選挙法等の一部改正がなされ、平成28年6月19日の後に初めて行われる国政選挙の公示日以後にその期日を公示または告示される選挙から、選挙権年齢が18歳以上になっています。
こちらはすでに1度衆議院議員選挙も行われておりますので、皆さんもご存じかと思います。

また、今回の成人年齢引き下げにあたり、影響のないものもあります。

お酒を飲んだりたばこを吸ってもいい年齢は、従前どおり20歳からです。心身の健康のための規定ですので、今回の引き下げにより影響はありません。
パチンコができる年齢については、従前より18歳から(但し高校生は除く)となっています。
競輪、競馬、ボートレースなどの公営競技については、従前どおり20歳からです。
運転免許は、原付・小型二輪・普通二輪は16歳から、普通自動車、大型二輪などは18歳からとなっています。

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