2022年2月3日

ギャンブルと免責について

自己破産の相談に来られる方の中で、パチンコや競馬などを行っている方がおられます。一般論として、節度を持って行うのであれば、パチンコや競馬を悪と言うつもりはありません。
しかし、自己破産との関係で言えば、パチンコや競馬などのギャンブルは、破産法上の免責不許可事由にあたります。免責というのは、借金の支払を免除する決定のことですから、免責が不許可になるということは、せっかく破産申立てを行っても、借金の支払義務が無くならないということです。

破産法252条1項4号は「浪費又は賭と博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと」を免責不許可事由としています。
つまり、ギャンブルによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担した場合は、免責許可の決定をしないと定められています。
ここでは「著しく財産を減少させ」又は「過大な債務を負担」とあるため、相当ギャンブルにのめり込んで財産を失った場合のことではないのかと思われるかもしれませんが、破産申立をするぐらいですから、一般的には預貯金などの財産がほとんどなく、手持ちの財産では借金の返済が不可能になっている状態にあると思います。そういった状態でギャンブルを行っていること自体、「著しく財産を減少させ」又は「過大な債務を負担」にあたると判断されてしまいます。

もっとも、破産法252条2項は「前項の規定にかかわらず~破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは、免責許可の決定をすることができる」と定めています。
すなわち、ギャンブルによる浪費があった場合でも、破産に至った経緯など一切の事情を考慮して、免責を許可することもできると規定されています。

では、どういう場合であれば免責が許可されるのでしょうか。
例えば、破産に至った直接の原因が、勤務先会社の倒産により職を失った場合や、突然の病気・怪我で働くことができなくなった場合などで、ギャンブルが直接の原因になっていない場合が考えられます。ギャンブルの金額にもよりますが、もともときちんとした収入があって、ギャンブルは毎月の小遣い程度の金額で楽しんでいた場合であれば、破産に至った経緯から見て、免責される可能性は十分にあります。

もちろん、ギャンブルを続けながら借金を免除してくれというのは通りませんから、ギャンブルはやめてもらう必要があります。その上で、裁判所に対して反省文を出し、ギャンブルはもう行わないことを約束してもらった場合は、裁判所としても、経済的にやり直すチャンスを与えるべく、免責を許可するということになります。

では、破産に至った直接の原因がギャンブルにある場合はどうでしょうか。給料の大半をギャンブルに充てていたり、借入のほとんどがギャンブルに消えているような場合です。ギャンブルをしていなければ借金は全部返せたんじゃないかという場合も同じです。
そのようなケースでは、簡単には免責許可は出ません。
しかし、本人が、もうギャンブルはやめて、きちんと収入の範囲内で生活をしたいと決意しているにもかかわらず、やり直すチャンスが全く与えられないというのも、破産法の趣旨に沿いません。

一般的には裁判所から破産管財人が選任され、破産管財人の指導の下、毎月の家計収支表や通帳の写しを提出するなどして、もうギャンブルを行っていないことを証明する必要があります。
破産管財人から浪費を無くすよう、お金の使い方について指導がなされることもあります。
これまでに浪費した金額があまりに大きい場合は、一定の金額を破産財団に組み入れる(破産管財人に対し支払い、配当の原資とする)よう指導されることもあります。
そういった破産管財人の監督の下、破産管財人からこの人は今後はきちんと生活ができる見込みがあると認められた段階で、破産手続が終了し、裁判所から免責決定が出ることが多いかと思われます。

なお、1番よくないのは、浪費など自分にとって不利な内容があるからといって、隠して破産を申立てることです。
破産にあたり、裁判所または破産管財人は、申立人の預金や保険など、あらゆる財産につき報告義務を課し、調査します。
その中で、仮に虚偽の内容が見つかった場合、非常に不利な立場になります。
破産法252条1項では、財産状況に関する書類等を隠滅したり偽造したりすること(6号)、虚偽の債権者名簿を作成すること(7号)、裁判所の調査に対し説明を拒み又は虚偽の説明をしたこと(8号)について、免責不許可事由としています。

裁判所は、嘘の説明については非常に厳しい態度をとります。
逆に、不利な内容があっても、正直に申し出て、反省し、現在は態度を改めていることを証明すれば、最終的には免責決定を出してくれることがほとんどです。
実際に裁判所において免責が不許可になった事例を見ると、裁判所に対してきちんとした説明をしなかったり、指示に従わなかったり、浪費がやまなかったりした場合など、普通に考えるとやり直す気持ちがないと思われても仕方がないようなものがほとんどです。

結論として、パチンコや競馬などのギャンブルを行っていても、かなりのケースにおいて、免責を得ることができています。
ただし、そのためには、自己破産の制度について、単に借金が消えてラッキーというものではなく、あくまで今の生活を改めて、経済的にやり直すための機会を与えてくれるチャンスだという認識を持って、誠実に取り組んでいただければと思います。

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