2022年10月3日

相続と遺産分割⑤

今回は、遺産分割の具体的な手続についてお話ししたいと思います。
遺産分割は、相続人の間で、遺産を具体的にどのように分けるのか決めることです。被相続人が亡くなった場合、普通、遺産として、預貯金、不動産、自動車、有価証券など、様々なものがあります。
それらを相続人のうち誰が、どのように、いくら取得するのかということを決める必要があります。
例えば銀行預金は、名義人が亡くなった場合、相続人の1人が払い戻しの手続を行っても、引き出すことができません。相続人全員が同意している旨の書類に、全員の実印を押印して提出する必要があります。
不動産の相続登記を入れる時も同じです。相続人全員の実印がないと登記が移転できません。
したがって、相続人全員で遺産をどのように分けるのか、協議して決める必要があるのです。

ところで、本ブログの「相続と遺産分割②」において、法定相続分の話をしました。法定相続分が決まっているなら、その通りの内容で預金を引き出したり、登記を移転することは可能なのではないかと思われるかもしれません。
確かに、遺産分割の協議が整わない場合、相続人がそれぞれの法定相続分で相続していると考えることは可能です。
しかし、概念として法定相続分で取得しているということと、具体的な財産ごとにどのように取得するかということは別です。法定相続分はあくまで割合に過ぎないので、どの財産を誰がいくらという内容は協議によって決めざるを得ないのです。
そこで、話し合いがつかない場合は、家庭裁判所で遺産分割調停を行うことになります。
調停は、裁判とは違い、話し合うための手続です。裁判所において、調停委員が間に入って双方の言い分を聞きながら、具体的な分割方法について話し合って行きます。
その中で、調停委員から、裁判所の考え方なども聞きながら進めることができるため、当事者のみで話し合う場合よりは、話がまとまる可能性が高くなります。
話がまとまれば、裁判所が、その内容を記載した調停調書という書面を作成します。
調停調書は判決と同じ効力を持つ書面ですので、以後の預金引き出しや不動産登記などは、調停調書によって行うことができます。

しかし、調停でも話し合いがつかない場合は、調停が審判に移行し、担当の裁判官が判断することになります。
裁判官が審判で決める場合、原則として、法定相続分での共有という結果になります。
特に、預貯金のように分割可能なものについては、審判によって法定相続分で引き出しが可能になりますが、不動産に関しては、切って分けることができないので(現実には1つの土地を文字通り切って分ける方法もありますが、その場合は「切り方」について協議を整えた上で、土地家屋調査士によって境界を定めてもらい、分筆登記を入れる必要があります)、1つの土地を相続人全員で共有するといった形になります。
共有状態を解消するためには、共有物分割請求というまた別の手続が必要となります。

なお、遺言書がある場合、原則は遺言書に従って分割しますが、相続人全員が同意すれば、遺言書と異なる内容で遺産分割を行ってもかまわないとされています。

次回は、相続放棄についてお話したいと思います。

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