幾波法律事務所公式ブログ

離婚

離婚後の共同親権について

4月16日に共同親権の法案が衆議院本会議で可決とのニュースが流れました。 話題になっているので目にした方も多いかと思います。 もともと婚姻中の子の親権は両親が共同で行使します。 ところが、両親が離婚した場合、現在の日本の民法では、どちらかの親の単独親権になります。一般的には、離婚後、子は父か母のいずれかと同居し、同居する親が親権を持つことになります。 この点、欧米では離婚後も両親が共同で親権を持つ国が多いようです...

祖父母から離婚した親に対し孫の面会交流審判を求めることの可否

離婚後、子の親権を持った親に対し、他方の親から子の面会交流を求めることはよくあると思います。 それでは、親以外の第三者から親権を持った親に対して子の面会交流を求めることはできるのでしょうか。 それに対する判断を示したのが、令和3年3月29日の最高裁決定です。   事案としては、両親A・Bが婚姻中、両親A・Bと子と祖父母(Aの親)が同居していました。しかし、離婚によりAとBが別居し、その後交代で子を監護すること...

義務者が仕事を辞めた場合、養育費は減額されるか

子供がいる夫婦が離婚し、夫婦の関係が解消されたとしても、子供との関係では親子であることに変わりはありません。 したがって、離婚後の子の親権をどちらが持つかどうかに関係なく、父母双方で子の養育費を負担する必要があります。   個々のケースにおいて、父母のそれぞれがいくらの養育費を負担すべきかは、子供の人数、年齢、父母双方の収入に応じて決められます。その際の基準として、算定表という表があります。   算定表を見...

成人年齢引き下げと親権・養育費の終期について

先日もブログで記載したとおり、民法改正により成人年齢が20歳から18歳に引き下げられました。 http://www.ikunami-law.com/blog/?id=1647587818-963047   それに伴い、従前は子どもが20歳になるまで親が子どもの親権を持ちましたが、今後は子どもが18歳になると、親権が終了することになります。   しかし、離婚の際の養育費は、必ずしも18歳で終了するわけではあり...

慰謝料は誰がもらえるのか

離婚する場合、慰謝料を請求するという言葉をよく聞きます。 先日も、某女性タレントが、以前離婚した元夫に対し、「本来は慰謝料をもらえる立場だった」とSNSで発信したことで話題となりました。しかし、同発言に対する世間の反応は、むしろ批判的なものが多かったようです。   では、離婚の際の慰謝料とは、どういう場合に発生するのでしょうか。   慰謝料という言葉の意味は、精神的苦痛に対する慰謝としての損害賠償です。 ...

婚姻に関する民法上の諸規定②

今回は、婚姻に関する民法上の諸規定の続きです。残りは氏(うじ)の話です。 項目番号は前回からの続きで(7)から始めます。   (7)氏(うじ)(民法750条、767条) 氏とは名字のことです。結婚すると、夫か妻のどちらかの名字を選択して名乗ることになっています。 今、夫婦別姓が議論されていて、結婚しても夫婦で異なる名字を名乗ってもいいのではないかという議論があります。 現在のところ、日本では、夫婦が別々の...

婚姻に関する民法上の諸規定①

今回は、婚姻に関する民法上の諸規定を見て行きたいと思います。   (1)結婚適齢(民法731条) 男は18歳、女は16歳にならなければ、結婚をすることができません。 また、未成年のうちに結婚する場合は父母の同意が必要です(父母のうちどちらかがいない場合は片方のみでかまいません)。   (2)重婚禁止(民法732条) 重婚は禁止です。ここでいう重婚禁止は、法律的な結婚を重ねてできないということです。浮気の...

性格の不一致

今回は、離婚相談の中で最も多い、性格の不一致について述べたいと思います。   性格の不一致により離婚したいという相談は、最も多いケースです。 相手方の言動に長年我慢してきた、気遣いがない、相手の顔を見るのも嫌、言っていることの全てに腹が立つといった主張です。 しかし、いわゆる不貞行為であったり、暴力、虐待といった法的な離婚原因に至らない場合は、裁判上の離婚原因とまではいえないことがほとんどです。 したがって...

離婚の際に決めなければならないこと②

今回は、離婚の際に決めるべきことの中身について、具体的に述べたいと思います。   (1)財産分与 財産分与は、婚姻期間中に築いた夫婦共有財産の分割です。原則は夫婦で2分の1ずつに分けます。 不動産、預貯金、有価証券、生命保険契約などについて、形の上で夫婦どちらの名義になっていても、婚姻期間中に築いたものであれば、夫婦が共同で築いたものとされ、分与対象になります。 基本的には離婚の時に夫婦双方が各自の名義の財...

離婚の際に決めなければならないこと①

今回は、離婚の際に決めなければならないことについて述べます。   離婚の際に決めるべきことは、婚姻期間中に形成された財産の分与、子供がいる場合の親権、養育費、面会交流の頻度・方法などがありますが、離婚届を出すために必ず決めておかなければならないことは、子供の親権です。 日本の民法では、婚姻中の子供の親権は夫婦共同親権といって、夫婦双方が親権を持っていますが、離婚する場合は父親と母親のいずれかが単独で親権を持つこ...