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契約書の基本

取引を開始するとき、物を売買するときなど、契約書を作成するかと思います。
契約書は何のために作るのでしょうか。
何となく、こういう場合は作るものということで、深く考えたことはないという方もおられるかもしれません。

契約書を作成する理由は、契約内容を明確にするためです。
店で目の前にある物を買う場合は、わざわざ契約書を作ることはしないと思いますが、契約内容が単純で、わざわざ書面にするほどでもないということです。
しかし、高価な物の売買や、内容の複雑な業務委託を行う場合などは、相手に何をしてもらうか、それに対していくらの対価を支払うかということを明確にしておくため、契約書を作ります。

では、なぜ契約内容を明確にする必要があるのでしょうか。
後に、売主から受け取った商品が、思っていたものと違い、返品したいと思った場合、どうなるでしょうか。
売主も違うことを認めて、返品に応じてくれれば問題ありません。
しかし、売主に言い分を聞くと、売ったのはこの商品です、返品できませんと言う場合はどうでしょうか。
どういう商品をいくらで売ったのか、何も書面化していない場合、お互いの思い込みで話をするので、言い分が食い違う可能性があります。
もっと複雑な業務委託契約や、物を作ってもらう請負契約などになると、さらにそういうことが起こり得ます。

そのように、お互いに悪気があるかないかは別として、後に言い分が食い違い、トラブルにならないように、契約内容を明確にしておく必要があります。

契約書は、実際のところ、取引がスムーズに行っている場合、あまり必要性がありません。
お互いが納得して商品を提供し、対価を支払っているからです。
ところが、何らかのトラブルが生じた時、きっちりした契約書があると、契約書を確認するだけでトラブルが解決することがあります。

したがって、契約書は、万一トラブルになった場合を想定し、こういう場合に揉めるのではないかという点についてこそ、きちんと決めておく必要があります。

 

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