幾波法律事務所公式ブログ

相続

相続登記の義務化と経過措置について

すでにご存じの方も多いかと思いますが、令和6年4月1日から、相続登記が義務化されます。相続登記とは、不動産所有者が亡くなった場合に、相続人へ登記名義を変更することをいいます。   登記はその不動産を誰が所有しているかを示すものですから、亡くなっているにもかかわらず名義が変更されていないと、現在の本当の所有者が分かりません。 これまでは所有者が亡くなって相続登記をせずに放置していても、特に罰則はありませんでした。...

相続における死亡保険金と遺産への持ち戻しについて②

前回のブログにおいて、相続における死亡保険金と遺産への持ち戻しについて、一般論を述べました。 原則として受取人指定の死亡保険金は遺産にカウントされないが、「保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合」には、死亡保険金を遺産に持ち戻すように命じるのが最高裁判例の考え方です。 その明確な...

相続における死亡保険金と遺産への持ち戻しについて①

生命保険の死亡保険金を受取人指定していた場合、遺産分割の対象にならないという話を聞いたことがあるかと思います。   例えば父親が亡くなって、兄弟が3人いるにもかかわらず、生命保険の死亡保険金の受取人を長男に指定しているということがあります。 この場合、父親の遺産分割において、兄弟3人の法定相続分は3分の1ずつとなるはずですが、この死亡保険金については原則として遺産分割の対象とはなりません。 すなわち、遺産とし...

遺言書の検認

遺言書の検認という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか。 遺言書は、遺言の作成者が遺言の全文、日付、氏名を自筆で書いて押印する自筆証書遺言や、公証役場で公証人に作成してもらう公正証書遺言などいくつかの種類があります。 そのうち、公正証書遺言以外の遺言については、家庭裁判所で検認という手続が必要です。 (遺言の種類・要件については、以前にも詳しく書いたことがあります。こちらをご参照ください)   検認は、...

自筆証書遺言の日付について

自筆証書遺言とは、民法で定められた遺言書の作成形式の1つで、遺言者が全文を自筆で書き、作成した日付、氏名を記入し、押印するものです(民法968条1項)。全文自筆、日付・氏名の記入、押印のうち、1つでも欠けると遺言として成立しません。 その自筆証書遺言をめぐり、令和3年に興味深い判決がありました。 遺言者が、入院中の平成27年4月13日に、遺言書の全文、同日の日付、氏名を記入し、退院後の同年5月10日に、弁護士の立...

相続で、亡くなった父親が寄付をしていた場合

今日のヤフーニュースで、病院で亡くなった父親に3億円を寄付させたのは公序良俗に反し無効だとして、病院と主治医を相手に損害賠償請求したケースが紹介されていました。 ヤフーニュースはこちら   遺族からすると、父親が相続人でもない病院に対し、3億もの寄付をするはずがない、病院がさせたのだろうと考えています。 病院の方は、正当な手続を経て寄付金を受け入れていると主張しています。   このようなケースは、例えば兄...

相続と遺産分割⑥

今回は、相続放棄についてお話したいと思います。 相続放棄とは、被相続人の法定相続人である者が、相続しない意思を家庭裁判所へ申述する手続です。 家庭裁判所へ申述することが必要ですので、例えば書面に「自分は相続を放棄する」と書いて実印を押したとしても、それだけでは相続放棄したことにはなりません。 遺産分割協議の中で、自分は遺産は受け取らないと記載し、他の相続人が取得する内容に同意する協議書を作成し、押印したとしても...

相続と遺産分割⑤

今回は、遺産分割の具体的な手続についてお話ししたいと思います。 遺産分割は、相続人の間で、遺産を具体的にどのように分けるのか決めることです。被相続人が亡くなった場合、普通、遺産として、預貯金、不動産、自動車、有価証券など、様々なものがあります。 それらを相続人のうち誰が、どのように、いくら取得するのかということを決める必要があります。 例えば銀行預金は、名義人が亡くなった場合、相続人の1人が払い戻しの手続を行っ...

相続と遺産分割④

今回は、遺言の効力と遺留分についてお話ししたいと思います。   遺言において、遺言者は、自らの財産につき、誰にどのように相続させるといった内容を定めることができます。遺言で書かれた内容は、法定相続分と異なっていてもかまいません。むしろ、通常はそのために作成されるものと思われます。 例えば、相続人として子供が3人おり、長男はとてもよく面倒を見てくれたが、次男と三男は家にも寄り付かず、あまり面倒を見てくれなかった場...

相続と遺産分割③

今回は、遺言についてお話させていただきます。 遺言とは、自分が亡くなった後、自分の財産をこのように分けて欲しいと記載して、生前に意思表示しておくものです。   遺言の種類としては、普通の方式のものとして、3種類あります。 1つ目は自筆証書遺言。2つ目は公正証書遺言。3つ目は秘密証書遺言です。   自筆証書遺言は、遺言者が自分で紙に書いてのこす遺言です。 遺言者が中身の全文と、日付、氏名を自筆で記入し、押...