幾波法律事務所公式ブログ

民事全般

消滅時効と時効の更新(中断)

前回のブログで、消滅時効期間について述べました。その中で、消滅時効とは、一定期間権利を行使しないことで、権利が消滅する制度だと述べました。ここでいう権利を行使するとはどういうことでしょうか。   一般的な言葉の意味から考えると、相手方に対し、「貸金の〇〇円を返してくれ」「〇〇の代金を支払ってくれ」と請求することで権利を行使したことになるように思えます。 しかし、時効期間を止めるための権利行使は、単に「返してくれ...

消滅時効と民法改正

平成29年に民法の一部が改正され、令和2年4月1日から施行されています。その中でも消滅時効に関する規定は大きく変更されています。 すでに施行から3年ほど経過しましたが、重要なところなので、時効について再度確認しておきたいと思います。   消滅時効とは、一定期間、権利を行使しないことで、権利が消滅する制度です。 なお、一定期間が経過すると自動的に権利が消滅するのではなく、請求された相手方が、「時効なので支払いま...

訴訟における相手方主張の不当性について

訴訟案件の相談や打ち合わせの中で、時々お聞きするのが、相手方代理人が書面で明らかな嘘を書いている、こんなことが許されるのかという質問です。   結論から言うと、このようなことは訴訟ではよくあります。 代理人が作成する書面ですが、代理人が策を弄してそう書いているというより、本人がそのように主張しているケースがほとんどです。   代理人としては、事実関係は本人しか分かりませんから、本人に聴き取った上で、整理して...

訴訟における主張の長さについて

訴訟になると、訴状、答弁書、準備書面といった書面を提出します。 いずれも当事者の主張をまとめた書面になるのですが、依頼者からすれば、自分が依頼した弁護士がどれだけ自分の言いたいことを代弁してくれるか、どれだけたくさん主張してくれるかという部分は、関心のあるところかと思います。   他方で、裁判における主張は、民法や民事訴訟法といった決まりに従って組み立てられています。 裁判での主張は、言い合いやディベートでは...

成人年齢の引き下げについて

民法の一部改正により、令和4年4月1日から、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられます。   従前の民法は20歳をもって成年とすると定めており、20歳未満の者は未成年者とされていました。 未成年者が法律行為をするには、法定代理人(親)の同意が必要で、親の同意がない法律行為は原則として取り消すことができました(小遣いでの買い物など、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産の処分など、一部例外あり)。   し...

民法改正と不法行為の損害賠償請求権の時効について

前回、民法改正と債権の時効について書きました。 債権とは、契約など何らかの法律的な関係に基づいて、ある人からある人へ請求できる権利のことをいいます。 一般的には、お金を貸したにもかかわらず返してくれない、物を売ったにもかかわらず代金を支払ってくれないといった、いわゆる債務不履行の場合が想定されます。 そのようなケースでは、お互いに何らかの約束があり、それが守られないという形になっています。   ところが、そ...

民法改正と消滅時効期間について

すでにご存じの方も多いかと思いますが、平成29年5月26日に民法(債権法)改正が成立し、同年6月2日に公布、令和2年4月1日から施行されました。   その中で大きな改正として、時効期間に関する改正がありました。   従前の民法は、債権の消滅時効について、時効期間を基本的には10年としつつ、内容によって5年(商事債権等)、3年(工事請負代金等)、2年(賃金請求権等)、1年(宿泊の代金等)などと細かく分けていまし...

相殺と民法改正(不法行為に基づく債務)

令和2年4月1日から改正民法が施行され、債権関係の規定が変更されています。 その中で、損害賠償債務に関する相殺について、これまでと大きく変わった部分があります。   相殺とは、自分と相手方が互いに同種の債務を負担している場合において、双方の債務が弁済期にあるときに、相殺の意思表示をすることによって、お互いに同じ金額について債務を免れることができる制度のことです(民法505条1項)。   具体的に言うと、自分...

調停とは

今回は、調停について述べたいと思います。   調停とは、簡単に言うと裁判所での話し合いのことです。裁判所で行いますが、裁判とは違います。裁判は、双方が法的な主張と証拠を提出し、それに対して裁判官が白黒の判断をつける手続です。しかし、調停は裁判官が判断するのではなく、裁判所という場で調停委員を交えて話し合いを行うことで、双方の主張を理解し、落としどころを見つけ、合意に至るための手続です。 調停委員とは、裁判所から...

不動産賃貸借契約の連帯保証人と極度額の定め

今年4月1日から民法の債権法分野の改正が施行されます。 その中で、個人の根保証契約(将来にわたり特定の取引から発生する債権を包括的に保証する契約)については、極度額(保証する限度額)を定めなければならなくなりました。定めていない場合は、保証契約自体が無効となってしまいます。   不動産賃貸借契約で個人の連帯保証人をつける場合、まさに上記の趣旨が当てはまりますので、極度額を定める必要があります。 なお、連帯保証...