幾波法律事務所公式ブログ

2025年02月

財産分与の基準時と婚姻費用分担義務の終期について

離婚の際に話し合いが必要な内容として、財産分与の定め、子供がいる場合は親権者、及び、養育費の定めがあります。財産分与は、離婚の際に夫婦が持っている財産をどのように分けるのかという問題です。原則は、婚姻中に築かれた財産を夫婦で2分の1ずつ分けることになります。不動産や自動車、預金口座の名義などは、一般的に夫の名義になっていることが多いですが、財産分与においては、婚姻中に築かれた財産の清算という趣旨ですから、名義が夫であ...

遺産分割における不動産の評価について

遺産分割協議の中で、不動産を特定の相続人が取得した上で、他の相続人へ代償金を支払う場合、相続した不動産をいくらと評価するかという争いが出てきます。 一般的に不動産の評価額は3種類あります。固定資産税評価額、路線価、市場価格です。 固定資産税評価額は、役所が固定資産税を賦課するための基準となる評価額です。毎年の固定資産税は、この評価額に基づいて金額が決められ、賦課されています。 路線価は、税務署が相続税を賦課する...

公益通報者保護法について

近時、兵庫県知事に関するニュースなどで、公益通報制度が話題になりました。公益通報制度について定める公益通報者保護法は、企業の不正行為を内部で知った従業員などが、不正の事実について通報しやすくし、それによって不正行為をなるべく事前に防ぎ、ひいては取引先や消費者なども保護するといった目的のために作られた法律です。2022年6月1日から改正法が施行され、常時使用する従業員数が300人を超える企業に対しては、内部通報に対応で...

訴訟はディベートではない

民事訴訟において、裁判官は原告の主張と被告の主張のどちらが正しいかを判断するのですが、これはどのような基準で判断されるのでしょうか。 法的にどのような事実があったときに、どのような効果が発生するのかは、民法などの実体法に規定されています。例えば、売買契約の場合、民法555条に、「売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ず...