2019年2月19日

不倫相手への慰謝料請求

本日の最高裁判決、不倫相手には慰謝料を請求できないという判決がニュースになっています。

ネットのコメント欄などには、「全国の間男に朗報」など、不倫相手の責任を否定するかに見える判決に対し、批判的なコメントが書かれています。
しかし、この判決は不倫相手に「何らの」慰謝料も請求できないという内容ではありません。

そもそも、不倫相手への慰謝料とは何でしょうか。
まず、夫婦間においては、互いに貞操義務がありますので、配偶者以外の者と肉体関係を持つ、いわゆる不倫は、不貞行為となります。
不貞行為は民法709条の不法行為にあたるので、夫婦のうち不貞行為をされた側は、不貞行為をした相手方に対し、慰謝料請求ができます。
これが、不貞行為についての慰謝料です。

この不貞行為についての慰謝料は、夫婦の相手方だけでなく、相手方と不倫をした不倫相手にも請求できます。不貞行為を行った夫婦の一方と、不倫相手が共同して不法行為を行ったという理解です。

そして、不法行為に基づく損害賠償請求は、民法724条により、損害及び加害者を知った時から3年間で時効消滅するとされています。
つまり、夫婦の相手方に不貞行為についての慰謝料を請求する場合は、相手方が不貞行為をしていた事実を知ってから3年以内に、不倫相手に不貞行為についての慰謝料請求をする場合は、不貞行為の事実と不倫相手が誰かを知ってから3年以内に請求しないと、消滅時効にかかってしまうのです。

今回の最高裁判例の事案は、不貞行為から3年以上経っていましたので、不貞行為についての慰謝料は、消滅時効にかかっていたのです。

そこで、何を請求したかというと、不貞行為の後、不貞行為によって夫婦関係が悪化し、最終的に離婚に至ったので、離婚したことについての精神的苦痛を、不倫相手に請求したのです。
今回の事案は、離婚から訴訟提起までは3年以内だったので、この慰謝料が認められるかどうかが大きな問題となりました。

しかし、最高裁は、結論として、離婚についての慰謝料を不倫相手に請求することはできないとしました。最初から夫婦を離婚させようという意図で夫婦間に干渉した場合であればともかく、そこまでの意図がなく、単に不倫しただけであれば、その後夫婦が必ずしも離婚するわけではないため、不倫相手に離婚の責任までは負わせられないという判断です。

ただし、これはあくまで離婚の責任を不倫相手が負うかどうかという話です。最初に述べたとおり、不貞行為自体は民法上不法行為にあたり、不倫相手にも損害賠償請求できることは変わりありません。
したがって、不倫相手が何の責任も問われないわけではありません。
決して「間男に朗報」という判決ではありませんので、不貞行為には責任が伴うことをご理解ください。

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