幾波法律事務所公式ブログ

全て

交通事故とひき逃げ

先日のブログで事後強盗について書きました。窃盗が見つかって、店員に暴行を加えると強盗になるという話でした。 似たような話で、車を運転していて交通事故を起こし、人に怪我をさせてしまった場合、それだけでも業務上過失致傷罪になったり、民事で損害賠償義務を負う可能性があるのですが、そのまま逃げてしまい、逮捕されるニュースもよく見ます。 これも、現場で焦ってしまい、思わず逃げてしまったということなのかもしれませんが、逃げた...

窃盗と事後強盗

スーパーで缶ビールを万引きし、警備員に声をかけられ、つかみかかるなどの暴行をして逮捕された男性のニュースがありました。この手のニュースは時々あります。万引きは窃盗ですので、10年以下の懲役または50万円以下の罰金です。スーパーの商品なら金額もさほど高額ではないので、きちんと弁償すれば実刑にならない可能性もあるかと思います。ところが、店員に見つかって逃げるために暴行した場合、事後強盗罪になります。強盗は、5年以上の懲役...

離婚後の共同親権について

4月16日に共同親権の法案が衆議院本会議で可決とのニュースが流れました。 話題になっているので目にした方も多いかと思います。 もともと婚姻中の子の親権は両親が共同で行使します。 ところが、両親が離婚した場合、現在の日本の民法では、どちらかの親の単独親権になります。一般的には、離婚後、子は父か母のいずれかと同居し、同居する親が親権を持つことになります。 この点、欧米では離婚後も両親が共同で親権を持つ国が多いようです...

相続登記の義務化と経過措置について

すでにご存じの方も多いかと思いますが、令和6年4月1日から、相続登記が義務化されます。相続登記とは、不動産所有者が亡くなった場合に、相続人へ登記名義を変更することをいいます。   登記はその不動産を誰が所有しているかを示すものですから、亡くなっているにもかかわらず名義が変更されていないと、現在の本当の所有者が分かりません。 これまでは所有者が亡くなって相続登記をせずに放置していても、特に罰則はありませんでした。...

年末年始について

今年も大変お世話になりました。 当事務所の営業は、年末は12月28日まで、年始は1月5日からとなります。 来年もよろしくお願い申し上げます。

相続における死亡保険金と遺産への持ち戻しについて②

前回のブログにおいて、相続における死亡保険金と遺産への持ち戻しについて、一般論を述べました。 原則として受取人指定の死亡保険金は遺産にカウントされないが、「保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合」には、死亡保険金を遺産に持ち戻すように命じるのが最高裁判例の考え方です。 その明確な...

相続における死亡保険金と遺産への持ち戻しについて①

生命保険の死亡保険金を受取人指定していた場合、遺産分割の対象にならないという話を聞いたことがあるかと思います。   例えば父親が亡くなって、兄弟が3人いるにもかかわらず、生命保険の死亡保険金の受取人を長男に指定しているということがあります。 この場合、父親の遺産分割において、兄弟3人の法定相続分は3分の1ずつとなるはずですが、この死亡保険金については原則として遺産分割の対象とはなりません。 すなわち、遺産とし...

祖父母から離婚した親に対し孫の面会交流審判を求めることの可否

離婚後、子の親権を持った親に対し、他方の親から子の面会交流を求めることはよくあると思います。 それでは、親以外の第三者から親権を持った親に対して子の面会交流を求めることはできるのでしょうか。 それに対する判断を示したのが、令和3年3月29日の最高裁決定です。   事案としては、両親A・Bが婚姻中、両親A・Bと子と祖父母(Aの親)が同居していました。しかし、離婚によりAとBが別居し、その後交代で子を監護すること...

遺言書の検認

遺言書の検認という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか。 遺言書は、遺言の作成者が遺言の全文、日付、氏名を自筆で書いて押印する自筆証書遺言や、公証役場で公証人に作成してもらう公正証書遺言などいくつかの種類があります。 そのうち、公正証書遺言以外の遺言については、家庭裁判所で検認という手続が必要です。 (遺言の種類・要件については、以前にも詳しく書いたことがあります。こちらをご参照ください)   検認は、...

消滅時効と時効の更新(中断)

前回のブログで、消滅時効期間について述べました。その中で、消滅時効とは、一定期間権利を行使しないことで、権利が消滅する制度だと述べました。ここでいう権利を行使するとはどういうことでしょうか。   一般的な言葉の意味から考えると、相手方に対し、「貸金の〇〇円を返してくれ」「〇〇の代金を支払ってくれ」と請求することで権利を行使したことになるように思えます。 しかし、時効期間を止めるための権利行使は、単に「返してくれ...