2021年3月19日

婚姻に関する民法上の諸規定①

今回は、婚姻に関する民法上の諸規定を見て行きたいと思います。

(1)結婚適齢(民法731条)
男は18歳、女は16歳にならなければ、結婚をすることができません。
また、未成年のうちに結婚する場合は父母の同意が必要です(父母のうちどちらかがいない場合は片方のみでかまいません)。

(2)重婚禁止(民法732条)
重婚は禁止です。ここでいう重婚禁止は、法律的な結婚を重ねてできないということです。浮気のことではありません。婚姻中の浮気は不貞行為として離婚原因や慰謝料請求の対象になります。

(3)女性の再婚禁止期間(民法733条)
女性は、離婚後100日経過しないと再婚できません。離婚から100日間は、前の夫との間の子供が生まれる可能性があるので、その間に再婚し、子供が生まれると、どちらの子か争いが起こる可能性があるため、設けられた規定です。そのため、離婚から100日経過前でも、妊娠していないことが明らかであったり、子供が生まれた後は、再婚できることになっています。
もっとも、近年はDNA鑑定など、科学の発展により、この規定が時代遅れではないかという議論もあります。

(4)近親婚の禁止(民法734条)
直系血族、三親等内の傍系血族との間では結婚できません。ただし、養子と養方の傍系血族との間ではこの限りではありません。
直系血族とは親子や祖父母、孫などのことです。傍系血族は兄弟やその子などのことです。つまり、親子や祖父母と孫は結婚できないし、兄弟姉妹や叔父叔母とも結婚できません。いとこからは結婚できます。
ただし、実親子ではない者が養子縁組をした時に、養親の側にすでに子供がいた場合、その子供と新しく養子になった者とは戸籍上兄弟姉妹になりますが、その兄弟姉妹には本来の血のつながりがありません。したがって、結婚できることになっています。

(5)直系姻族とは結婚できない(民法735条)。
姻族とは、結婚することで親族関係になる者のことです。直系とは、先ほど述べたとおり、親子や祖父母と孫などのことです。つまり、結婚した配偶者の親や祖父母、一般的にいう義理の父母や祖父母とは結婚できないということです。
これは、配偶者と離婚して姻族関係が終了した後でもできないことになっています。

(6)姻族関係の終了(民法728条)
今述べたように、結婚すると配偶者の親兄弟とも親族になり、それを姻族関係と言います。これはあくまで結婚によって親族になったものなので、離婚すると姻族関係は終了します。また、配偶者が死亡した場合で、残った方の配偶者が姻族関係を終了させる意思表示することでも姻族関係が終了します。
結婚して義理の父や母との関係がうまくいかないケースはあると思いますが、離婚することで、義理の父や母との関係も法律上は解消されることになります。

次回は、婚姻に関する民法上の諸規定の続きです。

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2021年3月17日

調停とは

今回は、調停について述べたいと思います。

調停とは、簡単に言うと裁判所での話し合いのことです。裁判所で行いますが、裁判とは違います。裁判は、双方が法的な主張と証拠を提出し、それに対して裁判官が白黒の判断をつける手続です。しかし、調停は裁判官が判断するのではなく、裁判所という場で調停委員を交えて話し合いを行うことで、双方の主張を理解し、落としどころを見つけ、合意に至るための手続です。
調停委員とは、裁判所から選任された者で、調停手続を進める役割の人です。離婚調停の場合、1つの事件に男女1名ずつの調停委員が担当します。社会生活上の豊富な知識経験や専門的な知識を持つ人の中から選ばれますが、もともとは多彩な職業の方が選ばれています。たとえば弁護士や司法書士などの専門職もいれば、会社の社長、元警察官、元児童相談所の職員などがいます。
調停の場において、当事者と直接のやり取りをするのは調停委員ですが、毎回の調停の内容は調停委員から担当の裁判官に報告されて、方針について毎回裁判官と協議しています。
ちなみに、私の経歴の中に家事調停官というのがありますが、ここでいう裁判官の役割をする非常勤の裁判官のことです。弁護士の仕事をしながら週1回裁判所で勤務していました。一般の裁判官は調停成立まで当事者の前に出てこないことが多いのですが、私がやっていた調停官の場合は、調停委員の方と一緒に調停室へ入り、当事者と直接やり取りをすることもよくありました。

次回は、その他婚姻に関する民法上の諸規定について書きたいと思います。

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