慰謝料は誰がもらえるのか
離婚する場合、慰謝料を請求するという言葉をよく聞きます。
先日も、某女性タレントが、以前離婚した元夫に対し、「本来は慰謝料をもらえる立場だった」とSNSで発信したことで話題となりました。しかし、同発言に対する世間の反応は、むしろ批判的なものが多かったようです。
では、離婚の際の慰謝料とは、どういう場合に発生するのでしょうか。
慰謝料という言葉の意味は、精神的苦痛に対する慰謝としての損害賠償です。
民法上、相手方の故意または過失により、法的に保護される利益を侵害された場合に、損害賠償請求ができます。
いわゆる不法行為に基づく損害賠償請求です。
その中でも、利益侵害の内容が精神的苦痛の場合、その損害賠償請求を慰謝料請求といいます。
したがって、相手方に慰謝料を請求するには、少なくとも相手方に不法行為がなければなりません。
離婚の際の不法行為としてあげられる代表的なものは、不貞行為とDVです。
したがって、相手方に不貞行為があったり、DVがあったような場合は、相手方に慰謝料を請求できるということになります。
逆に、相手方に不貞行為やDVなどの不法行為がない場合は、慰謝料請求は認められないものとなります。
上記女性タレントの発言も、自分が慰謝料をもらえる立場だったということは、暗に、相手方に不法行為があったと言っていることになります。
一般的に、離婚に際して女性の側が金銭的な請求をすることが多いため、離婚により女性側が当然に慰謝料を請求できると誤解されている方もおられるように思われます。
確かに、離婚に際して子供が幼い場合、女性の側が親権を持つことが多く、また、収入についても女性の側が少ないことが多いため、女性の側から養育費等の金銭的な請求をすることが多いかと思います。
また、婚姻時の不動産や預貯金などにつき、夫側の名義にしていることも多いため、財産分与においても、女性の側から請求することが多いように思います。
しかし、それらの問題と、「慰謝料」の問題は、明確に異なる問題ですので、混同されないようにご注意ください。